Innovation Summit 2024: Top 4 Takeaways

2024年6月13日、GroupMは英国で年次イベント「Innovation Summit」を開催した。WPPグループのクライアントや業界の専門家が一堂に会し、「すべての広告をより効果的に機能させる(Making Every Ad Work Harder)」をテーマに、広告業界の急速な進化に対応するための革新と前向きな展望について議論を深めた。イベントを通じて、メディアの成果を最大化するためのさまざまな戦略が共有された。

以下、本イベントで注目された4つのポイントを紹介する。

1. 広告の未来を左右するアドレサビリティ

データ主導のインサイト、戦略的テクノロジー、洗練されたメッセージングを組み合わせることで、顧客エンゲージメントを高め、ビジネス成果を最大化する。

アドレサビリティ広告は、広告業界におけるゲームチェンジャーとして注目されている。英国の広告市場は2024年末までに4.9%成長し、478億ドルに達すると予測されている。さらに、完全なアドレサビリティ機能を備えたデジタル領域への投資が引き続き増加し、2025年末までにはデジタルチャネルの80%がアドレサビリティを持つ見込みだ。

アドレサビリティ広告とは、高度なデータシグナルを活用し、ターゲットに対して適切なメッセージを届ける手法であり、従来のプログラマティック広告よりもさらに精度を高めている。

このエコシステムを支える主要な要素は次の3つ。

  • 適切なテクノロジープラットフォーム:オーディエンスデータを活用し、大規模に展開可能な仕組みを整える。
  • データの活用:ファーストパーティデータ、地理情報、コンテクスチュアルデータなどを適切に活用する。
  • メッセージング:適切なタイミングで、より関連性の高い、人間らしいコミュニケーションを実現する。
Ryan Storrar, GroupM Nexus UK & EMEA CEO

2. データを統合し、クライアントのパフォーマンスを最大30%向上させる「コラボレーティブ・アドバンテージ」

膨大なデータが日々収集される中で、それを最大限に活用するには、統合し、意味のある形で活かすことが求められる。

ビジネスにおいて、重要なのはデータの量ではなく、そこから導き出されるインサイトだ。Choreographは、プライバシーを確保しつつ、データを安全に統合し、インサイトを共有することで、コラボレーティブ・アドバンテージを実現することを提唱している。セキュアなクリーンルームやフェデレーテッド・ラーニングを活用し、分散したデータセットを統合することで、メディアやマーケティングの効果を向上させる。このデータ活用により、クライアントのパフォーマンスは平均25〜30%向上すると報告されている。

AIやテクノロジーを活用し、リアルタイムでキャンペーンを最適化することで、広告効果が高まるだけでなく、オペレーションの効率化も進み、より戦略的なデータ活用に時間を割くことが可能になる。

Choreograph EVP Neelam Shahbazi, Choreograph Global Partner, Resolve Heidi Wainwright and Wavemaker Chief Data & Technology Officer Irin Rahman, discuss federated learning.

3. OOH広告の進化

データとテクノロジーの進化により、OOH(アウト・オブ・ホーム)広告は単なるブランド認知の手段にとどまらず、マーケティングファネル全体をカバーする重要なチャネルへと変化している。

デジタルOOH(DOOH)の普及により、OOH広告の収益の65%がデジタルフォーマットから生まれている。特にプログラマティックOOHは、2024年までに市場シェアを3%から6%へと倍増させる見込みだ。

DOOHの強みは、広範なリーチとリアルタイムでの関連性を両立させ、スケールメリットを持ったパーソナライゼーションを可能にすることにある。例えば、天候や位置情報に基づき広告を最適化するダイナミックDOOHは、2023年に53%成長したものの、キャンペーン全体の10%にしか活用されていない。これは、同じ予算内でより高い効果を発揮できる可能性があることを示唆している。

また、テクノロジーの進化により、3Dコンテンツやインタラクティブなキャンペーンの展開も可能になり、広告のクリエイティブ面での可能性が広がっている。

GroupM OOH Chief Client Officer Nicole Lonsdale talks about the latest tech and capabilities in DOOH

4. リテールメディアがもたらす新たな機会

リテールメディアは、オンサイトマーケティング、クッキーレスデータターゲティング、インフルエンサードリブンのソーシャルコマース、Amazonのフルファネルマーケットプレイス戦略など、ブランドにとって重要な成長機会を提供している。

コマースマーケティング市場は急速に拡大しており、2016年の180億ドルから直近では1,290億ドルに達している。小売業者はメディア販売による高い利益率(75〜90%)を活かし、新たな収益源としての重要性を増している。

リテールメディアの主要領域は以下の4つ。

  • オンサイトパフォーマンスマーケティング:小売サイト内での広告枠を活用し、商品ページや検索結果の可視性を向上。
  • オフサイトデータ活用:ロイヤルティプログラムのファーストパーティデータを活用し、正確なターゲティングとセールスアトリビューションを実現。
  • ソーシャルコマース:TikTokやYouTubeなどでのインフルエンサー活用を通じ、消費者とブランドを直接つなぐ。
  • マーケットプレイス:Amazonなどのプラットフォームがこれらの要素を統合し、ブランド認知から購入までの一貫した顧客体験を提供。

コマースマーケティングは、パーソナライゼーションと利便性を両立させ、シームレスな購買体験を提供する重要な手法となっている。

GroupM Head of Commerce David Fieldhouse lifts the lid on Commerce Marketing